めずらしく書籍のご紹介です。
今月、母校の東京藝術大学の保存修復日本画研究室から新しい本が発行されて、一部ですが私の博士論文の内容や当時描いた復元模写の写真などが掲載されているのでご紹介したいと思います。
こちら!

日本画本

「日本画 名作から読み解く技法の謎」
東京藝術大学保存修復日本画研究室/監修
世界文化社/出版

この本は研究室の最近の博士研究を中心に構成されていて、日本画の古典技法や作品の背景についてなどが読めてとても面白いです。博士研究をベースにしているだけあって内容は少しマニアック、、、ですが文章は研究者というよりも一般の方向けに書かれているので読みやすかったです。
掲載されている研究は先輩達や後輩達のものがほとんどなので、学生のとき、研究の舞台裏を傍らで見ていた身としては、ぱらぱらとめくるだけで感慨深いものがありました。。
私の箇所は、博士の学生時代に研究した高野山所蔵の国宝「阿弥陀聖衆来迎図」の復元模写の内容が載っています。
阿弥陀聖衆来迎図(小)こちらはその模写です。写真では伝わりにくいですが幅4m以上あります。
現在は東京藝術大学の大学美術館に所蔵されています。

そしてなんとタイムリー(?)なことに現在、東京国立博物館で開催されている「日本国宝展」にこの模写の原本である国宝「阿弥陀聖衆来迎図」が展示されています!(http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1648

東京で見られるのはおそらく10年ぶりくらいではないでしょうか。
私は博士2年の時に所蔵元の高野山で原本調査をさせていただいて以来、4年ぶりの再会ということで、興奮のあまり、既に3回も博物館に見に行ってしまいました。
原本を見れば見るほど、やっぱり本物にはかなわないな、と思うと同時に、あーここも描いた、あそこもああだったという様に模写をしていた時の記憶がまざまざと思い出されて、すごく良く知っている友達に何年かぶりに再会したような、不思議と懐かしい感覚に陥ってしまいました。
前回拝観した時もちょうど年末に高野山に登って、底冷えのする霊宝館に籠って一日何時間もこのお像と向かい合っていたことなど、、、見ているとあの時の寒さと一緒に、対峙していた時に感じた色々な感情もこみ上げてきて、後にも先にもあんなに濃い年末の思い出はできないんじゃないかと思うくらいです。

展示は12/7(日)までです。
展覧会自体が大人気でかなり混雑しているようですが一見の価値ありです。
本の方も、どこかで見かけたら手に取って見て頂けると嬉しいです。

こんにちは。早いもので2014年もあとわずかです。
中国から帰国してバタバタとしている間に気が付けば4ヶ月もホームページの更新を怠っていました。そのせいか、あちこち出かけて人にお会いする度に「あれ?帰ってたの!?」と言われます。。
お陰さまで9月に無事帰国しました!元気です!ただいま!!

ということで、嬉しいことに久しぶりに日本での展示のお知らせです。
12/5から銀座の靖山画廊で年末恒例の「たいせつなもの展」に参加させて頂きます。(詳細→http://www.takedahiroko.jp/2014/11/diamond/
帰国してから制作した小品を2点出品します。
この時期銀座では12/12からXmasアートフェスタという催しをやっていて、この展示も参加ギャラリーのひとつです。
詳細はこちら→http://www.ginza-galleries.com/xmasartfes.html

たいせつなもの展2014DM「ダイヤモンド」をテーマに41作家の作品が集います。
オープニングレセプションにも出席するつもりなので、色々な方に
久しぶりにお目にかかれるかな〜と楽しみにしています。
よろしくお願いいたします。

あけましておめでとうございます!

今年は中国で年を越しました…と言っても、こちらは旧暦の正月(春節、今年は1月31日)がメインのお正月なので、大学も元旦の1日だけお休みで、しかも前期の期末テスト期間のまっただ中だったりします。日本の年末年始にあたる一週間は成績検査のための作品を準備したり、私の場合は中国語の語学のテストがあったりと忙しかったです。なのであまり年を越した実感がありません。

そして昨日から長い冬休みに入りました。

あっという間に一年の半分の授業が終わってしまいましたが、、、最後の1ヶ月は何をしていたかというと、学部生の模写の授業に混ぜてもらって模写をしていました。

模写は大学院時代にさんざんやった私ですが、、ここ中国美術学院の模写は考え方や方法が全く違います。
まず驚いたのがこの模写室の環境の良さ!!

模写1ここは模写の授業専門の教室で、ここに中国美術学院が所蔵する作品を並べて模写をします。
大学の所蔵作品はやはり浙派のものが中心ですが、

模写5

斎白石の海老とか

模写

呉昌碩の牡丹や任伯年の没骨のものまで。 作品もケースで保護、管理しつつ学生が作品の目の前で筆を使えるという、かなり恵まれた環境です。

模写6私は三週間の間に蒲華の竹、幡天寿の蘭、呉昌碩の牡丹、金農の梅などを模写しました。
日本では模写といったら素材研究から初めて、寸法や図像もとにかく原本に忠実に写すので一枚の模写に1年以上かけることも珍しくないですが、こちらの模写は筆の動きや、実際に作者が描いている順序、スピードなどを重視するので写真のように一日に何枚も描いたりします。私にとってはこのスピード感はかなり新鮮なものでした。

敦煌

模写と言えば、今月から3月にかけて大学の近くの浙江省博物館で敦煌壁画の展覧会をやっていて、敦煌の石窟内の壁画と仏像を360度模写と模刻で再現していました。ここで見られた模写は顔料などもかなり原本に忠実なようで、日本の模写の方法に近いです。私としては岩絵具の質感を懐かしく感じたりしました。

そして前期の最後の一週間は、成績検査のための作品展示というのがありました。
検査の時には完成した作品を出さないといけないので、まず、作品を表具屋さんに持って行って裏打ちしてもらいます。

検査1ちょっと怪しい雰囲気、、、ですが小さい作品だったら一枚10元(170円くらい)ですぐにやってくれます。この時期は学生が殺到するのでお店の人もてんてこまいの様子。

検査3

試験期間に入ると、学生が一斉に今学期の作品を教室に並べます。先生は教室を回って成績をつけるようです。皆がそれぞれ力作を並べた教室はなかなか壮観です!

検査2ちなみにこの時期は全ての科がこのような状態なので大学がちょっとした美術館のようでした。他の科の教室に行って展示を見るのも楽しいです。検査5

これは書道の学部三年生のクラス。

検査6篆刻の宿題もありました。

検査4

これは私のスペースです。この9月に杭州に来たときの、右も左も分からない状態を思うと今は少しだけ、とっかかりをつかめたような気持ちです。毎日教室に行く度に色々な出来事があって、本当に刺激的な4ヶ月でした。最初の中国語もままならなかった時から、先生や同級生が道具のことやどんな本を見たら良いかなど、絶えず色々なアドバイスをくれて、本当に感謝しています。
あまりにも色々と一気に吸収したので、これから2ヶ月近い冬休みの間に少し頭を整理して後半もまた頑張りたいと思います。

こんな感じで、年が明けました。
2014年もどうぞよろしくお願いいたします。


2014年