展示紹介その③

「武田裕子 四宮義俊 二人展」@アートスペース羅針盤(京橋)
(2017年4月10日〜4月15日)

ポーラでの展示の翌月、アートスペース羅針盤にて四宮義俊さんとの二人展がありました。
四宮さんは東京藝術大学日本画科の先輩でもあるのですが、在学中はほとんど面識がなく、むしろ卒業してからの活動でその存在を知りました。
日本画科出身ではありますが、立体作品、アニメーション作品も手がける、とてつもなく多才な方です。
四宮義俊さんの公式サイト→ http://shinomiya.main.jp/

四宮さんの作品。植物が細密に描かれた絵の表面に薄い絹がかかっていて、絵がぼんやりと透けて見えるような構造になっています。絵と自分との間に空気の膜のような、微妙な距離感を感じさせる作品だなあと思いました。

私の作品。
「春の界」130cm×67cm(二枚一組)
最近何回か続けて描いている梅の枝をまた違う形で捉えてみようと思い制作しました。
実は2年くらい前に枝の部分を一気に描いて、イメージが膨らみそうだったのでそのまま置いておいたものを、今回花を描いて完成させました。私の作品制作は偶然性が入ってくる部分がとても多いのですが、この作品はその最たるものではないかと思います。またもう少し発展させられる気もしますが、時間がかかりそうです。


「春の界」のもとになったのは、画像左側の掛軸に仕立てた墨梅図です。中国留学中に、模写の授業で金農という清時代の画家の本物の墨梅図を間近で見ながら描かせてもらった作品です。この時は毎日水墨画の模写をしていたので、この縦120cmくらいの画面を1時間半くらいで一気に描いていました。一見、墨だけのシンプルな絵に見えますが、集中して描くとつづれ織りのような緊密に絡み合う空間を画面の中に感じて、これはすごい!と思いました。(以前の記事→http://www.takedahiroko.jp/2014/01/zenki/

右側の二幅の掛軸は四宮さんの作品です。なんと、表装も自分で仕立てたそうです。

小品たち。
羅針盤は初めて個展をした場所でもあるのですが、作品によって白くがらんとした空間が様々に変化する、作家にとってはちょっと恐ろしく、しかしやりがいのある空間です。

展示紹介その②

ポーラミュージアムアネックス展 @POLA MUSEUM ANNEX
(2017年3月3日〜26日)

銀座にあるポーラミュージアムアネックスギャラリーにて開催されたグループ展です。ポーラ美術振興財団から在外研修助成を受けたことのある作家の中から選抜された4人展でした。

出品者は高木彩さん、池田光弘さん、彦坂敏昭さん。それぞれがフランス、ドイツ、イギリス・アイスランドに研修に行かれた作家さんです。
私は2013年の中国留学の時にポーラ美術振興財団から助成をいただいたご縁で、今回参加させていただきました。

出品作品です。

左から
「葡萄図」掛軸 紙本墨彩 (2014年)
「花風の窓」二曲屏風 紙本彩色 (2016年)160cm×160cm

「葡萄図」は留学中に中国で描いた作品、「花風の窓」は帰国後に描いたもので、2016年のSEED山種美術館日本画アワードに入選した作品です。
「葡萄図」は留学中の作品の中でまだ一度も発表していなかったので、留学をサポートして下さったポーラさんのギャラリーで飾ることができてとても嬉しかったです。
この2点を描いた2014年から2016年くらいは、留学で学んだ中国画と、日本画との間で作風がけっこう揺れていました。

「ウメ咲く庭」紙本彩色 214.4cm×153.2cm(2017年)

「ツキ見る二階」紙本彩色 153.2cm×214.4cm(2017年)

今回の展示のために新しく描いた作品です。
中国画で感じた筆を使うことの自由さと、留学から帰って、日本画の面白さに改めて気がついた部分と、またそれ以前に学んでいた模写や仏画的な線や彩色の意識と、それらが自分の中でまったく別々のもののように感じていた時もありました。それと同時に、様々な文脈にあまりとらわれすぎずに、自分の中で自然に結びついてきた感覚を一度まとめて出してみたいという気持ちもありました。

アトリエにて、「ウメ咲く庭」制作風景

150号2枚を同時進行で制作するのは体力的に厳しいものがありましたが、大きな画面は自分のコントロールできる範囲を超えて、思いもよらないものが出てくることが多いです。

アネックス展と同時開催で、アートフェア東京にもポーラ美術振興財団のブースから出品しました。

「アートフェア東京2017」@有楽町国際フォーラム
(2017年3月16日〜19日)

 

来場者がとにかく多くて、3日間会場に立っていただけでちょっとふらふらしました。
それにしても、留学のみならずその後の作品もこうして紹介していただけるというのは、ありがたい限りでした。

 

残暑お見舞い申し上げます。

前回の投稿から1年近く間があいてしまいました。。本当は展示があるごとに、作品のことや制作の裏側など書きたいことがあるのですが、目の前の仕事に追われて、なかなかできていません。

今年は春に特徴のある展示がいくつかありました。それぞれに思い入れがあったので、かなり遅くなりましたがここでご紹介しておきたいと思います。

その①「覚の会」@靖山画廊(2017年1月13日〜27日)

2013年から始まったグループ展「覚の会」の第3回目が東銀座の靖山画廊にて開催されました。
「覚の会」第1回目の記事はこちら→http://www.takedahiroko.jp/2013/01/kakunokai/
この展示の見所はなんといっても彫刻家と日本画家のコラボレーション作品です。立体をつくる人と、絵をかく人が技を出し合ってどんな作品を作ることができるのか?今回私は彫刻家、益田芳樹さんとペアで作品を制作しました。

作品①「obi」木彫彩色 檜に彩色 截金

普段から木彫の作品や仏像の修復を手がけられている益田さんと、今回話し合ったのは「平面と立体の境界」です。ひとつめは、平面である長方形の布から立体的な形を作る和服をテーマにし、中でも帯をモチーフとして制作してみました。益田さんが木から彫りだしたお太鼓結びの形の帯に、私が普段から使っている岩絵具や膠を使って彩色しました。

益田さんから受け取った時はこの状態です。白木の状態でも帯の感じが出ていますが、普段平面に絵を描いている身としては、ここにどんな色を置いていくか、、ワクワクする瞬間です。これに下地の膠や白土を塗って、色々な角度からバランスを見ながら文様などを入れていきます。

覚の会のもう1つのテーマは「古典技法」です。参加メンバーは皆、大学時代に文化財保存学で日本の伝統的な模写(彫刻の場合は模刻)や修復を学んだ作家です。平安・鎌倉時代の美しい彩色が残っている仏像などは、彫る人、色を塗る人、截金を施す人など、分業で工房制作がされていたと言われています。学生時代に仏像の彩色や截金をお手伝いをすることがあったのですが、それぞれの分野の人が技を出し合ってひとつのものが完成したときの感動が、この覚の会発足のきっかけにもなっています。

普段の制作のように自分ですべてを決められないというジレンマを超えて、個人では作れない次元のものができる楽しさがあるなあと思います。

作品②「月夜見」木彫彩色 絹本著色

ひとつ目の作品「obi」とはまた違う形で、平面と立体との関わりを考えてみようという作品です。
実体のない水や雲などの現象を益田さんに木で彫ってもらい、絵に描かれた平面上の空間と立体が作る空間との境界を限りなく近づけてみたいと思いました。

構想は益田さんのアトリエにて、打ち合わせをしながら進めました。先に粘土で作ったマケットを見せてもらって、二人であれこれ話しながらイメージを膨らませていきます。

仏像彩色などのやり方に倣って、木彫彩色の下地には白土を使いました。白土は日本画の画材屋さんにもありますが、絵具として使う人はそんなに多くないのでは??と思います。膠と混ぜるとちょっと粘土のような粘着感と、とろみが出ます。古くは平安時代の仏像などにも白土下地は使われていますが、白土の粘り気が木彫と相性が良いのか、ふっくらとした感じが出ます。

色々な方向を向いている面に、均一に絵具を塗っていくのがなかなか難しいです。。

アトリエで制作している途中で、とくに光の当たり方によって、立体がとても美しく見える瞬間があります。自分の作品でも金箔などをよく使うので、周りの環境と作品との関わりはいつも気にしているところですが、彫刻は「陰」という不確定な要素が加わるので塗った色が違う効果になって見えたり、単純な色がとても変化に富んで美しく見えたりします。いつも自分が向き合っている平面絵画にはない、はっとする瞬間でした。

「覚の会」新年早々のオープニングだったので、新年会もかねてたくさんの人が集まって下さいました。
次回は2019年に開催予定です!


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