残暑お見舞い申し上げます。

前回の投稿から1年近く間があいてしまいました。。本当は展示があるごとに、作品のことや制作の裏側など書きたいことがあるのですが、目の前の仕事に追われて、なかなかできていません。

今年は春に特徴のある展示がいくつかありました。それぞれに思い入れがあったので、かなり遅くなりましたがここでご紹介しておきたいと思います。

その①「覚の会」@靖山画廊(2017年1月13日〜27日)

2013年から始まったグループ展「覚の会」の第3回目が東銀座の靖山画廊にて開催されました。
「覚の会」第1回目の記事はこちら→http://www.takedahiroko.jp/2013/01/kakunokai/
この展示の見所はなんといっても彫刻家と日本画家のコラボレーション作品です。立体をつくる人と、絵をかく人が技を出し合ってどんな作品を作ることができるのか?今回私は彫刻家、益田芳樹さんとペアで作品を制作しました。

作品①「obi」木彫彩色 檜に彩色 截金

普段から木彫の作品や仏像の修復を手がけられている益田さんと、今回話し合ったのは「平面と立体の境界」です。ひとつめは、平面である長方形の布から立体的な形を作る和服をテーマにし、中でも帯をモチーフとして制作してみました。益田さんが木から彫りだしたお太鼓結びの形の帯に、私が普段から使っている岩絵具や膠を使って彩色しました。

益田さんから受け取った時はこの状態です。白木の状態でも帯の感じが出ていますが、普段平面に絵を描いている身としては、ここにどんな色を置いていくか、、ワクワクする瞬間です。これに下地の膠や白土を塗って、色々な角度からバランスを見ながら文様などを入れていきます。

覚の会のもう1つのテーマは「古典技法」です。参加メンバーは皆、大学時代に文化財保存学で日本の伝統的な模写(彫刻の場合は模刻)や修復を学んだ作家です。平安・鎌倉時代の美しい彩色が残っている仏像などは、彫る人、色を塗る人、截金を施す人など、分業で工房制作がされていたと言われています。学生時代に仏像の彩色や截金をお手伝いをすることがあったのですが、それぞれの分野の人が技を出し合ってひとつのものが完成したときの感動が、この覚の会発足のきっかけにもなっています。

普段の制作のように自分ですべてを決められないというジレンマを超えて、個人では作れない次元のものができる楽しさがあるなあと思います。

作品②「月夜見」木彫彩色 絹本著色

ひとつ目の作品「obi」とはまた違う形で、平面と立体との関わりを考えてみようという作品です。
実体のない水や雲などの現象を益田さんに木で彫ってもらい、絵に描かれた平面上の空間と立体が作る空間との境界を限りなく近づけてみたいと思いました。

構想は益田さんのアトリエにて、打ち合わせをしながら進めました。先に粘土で作ったマケットを見せてもらって、二人であれこれ話しながらイメージを膨らませていきます。

仏像彩色などのやり方に倣って、木彫彩色の下地には白土を使いました。白土は日本画の画材屋さんにもありますが、絵具として使う人はそんなに多くないのでは??と思います。膠と混ぜるとちょっと粘土のような粘着感と、とろみが出ます。古くは平安時代の仏像などにも白土下地は使われていますが、白土の粘り気が木彫と相性が良いのか、ふっくらとした感じが出ます。

色々な方向を向いている面に、均一に絵具を塗っていくのがなかなか難しいです。。

アトリエで制作している途中で、とくに光の当たり方によって、立体がとても美しく見える瞬間があります。自分の作品でも金箔などをよく使うので、周りの環境と作品との関わりはいつも気にしているところですが、彫刻は「陰」という不確定な要素が加わるので塗った色が違う効果になって見えたり、単純な色がとても変化に富んで美しく見えたりします。いつも自分が向き合っている平面絵画にはない、はっとする瞬間でした。

「覚の会」新年早々のオープニングだったので、新年会もかねてたくさんの人が集まって下さいました。
次回は2019年に開催予定です!


: 8月 2017