早いもので杭州に来てもうすぐ一年が過ぎようとしています。私の留学生活も残りわずかになってきてしまいました。
最近の活動としては先月末、中国美術学院の美術館で行われた留学生作品展に作品を出品させていただきました!

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前回の卒業制作展に続いて杭州で2回目の作品発表の機会です。この作品展は中国美術学院に留学している留学生の作品を中心としたもので、2年に一度開催されるそうです。私の短い留学期間の間にちょうどこの展覧会の年にあたることができてラッキーでした!
二幅一対で梅と桜の作品を描きました。

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ここ一年中国画を学んでいて、今まで自分がまったく触れてこなかった写意の筆法を習得していくことで、筆と紙との関係について自分の中ではかなり劇的な変化が起こりました。そして自分の身体と絵との関わりについてたくさん考えさせられました。ただひたすら学ぶことが多くて、なかなかそれを作品としてアウトプットする時間がなかったのですが、今回はせっかくの機会なのでここで学んだことを今までの自分の作品制作に落とし込んだらどんな作品になるかな・・・ということを実験してみたくて、色々と試行錯誤の末この2枚の作品になりました。ちなみに紙や筆は杭州で買ったものを使って、絵具は日本のものを使いました。久しぶりに日本の岩絵具や染料を使ったらあまりに質が良くて今更ながら日本の絵具はきれいだなぁ〜〜としみじみ思いました。

まだまだ消化不良な部分があるので、これからもう少しいらないものを削ぎ落として、精度を上げていきたいです。

ちなみに中国人の先生や友人にはこの背景つきの花鳥画(基本的に美院の人たちは白い紙に描いていくので)が相当珍しいものに見えるらしく、展覧会の期間中は技法や画材について色々な人から質問攻めにあいました。。

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この展覧会の出品者は主に学生ですが油絵、彫刻から中国画や書、映像作品などなど・・・出品者の国籍もアジア、アフリカ、ヨーロッパ各国と様々で、こんな個性のぶつかり合いのような展示に参加するのは初めてで、とても刺激になりました!

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それから展覧会がやっていたころ大学はちょうど卒業式シーズンで、一年間一緒に勉強した同級生達も晴れやかに大学を巣立っていきました。
ちなみに中国美術学院の卒業式はなんと全員の学生に衣装が支給されます!写真で皆がかぶっている帽子も支給品なのです。

DSC08344この衣装はよく見るとボタンや襟が中国式。この青いリボンのところが学部生は緑、修士は青、博士は赤、先生はゴールドになっていて、一目でどの課程の卒業生かが分かります。デザインはこの大学の先生によるものらしいです。
卒業生の進路は大学に残る人の他は杭州に留まって作家活動を続けたり、自分で教室を開いて生徒を募集して収入を得たり、デザインや広告関係の会社に就職する人など、皆それぞれですが、若い人が作家として生活していくのはやはり簡単なことではないようで、その辺の事情は日本とあまり変わらない気がしました。

卒業式の他に、指導教官の先生が自分の卒業生を招待して食事をご馳走する宴会があって、私ももうすぐ帰国ということで呼んで頂いて何回か参加しました。
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最初の頃スケッチ旅行に行ったときはあまりの激しさにちょっと退いてしまったこの中国の宴会も一年たってすっかり慣れ、今では敬酒(先生など目上の人の席に行って乾杯を促す宴会の習慣)のタイミングもなかなかつかめるようになってきました!
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一年を通してお世話になった彭小冲先生と田源先生です。(私の卒業衣装は同級生からの借り物!)二人の先生からはこの時、「絵の勉強は一生続くからとにかく続けていって必ず先生を超えなければいけない」とか、「政治関係がどうであっても中国と日本の文化は昔から一衣帯水でつながっている、日本に帰っても研究を続けて欲しい」など心に残るお言葉を頂きました。

さらに宴会の後は先生の画室に移動して、これは朝まで延々宴会かな・・・と思いきやこの日は先生が竹を描いて最後の示範をしてくれました。
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この一年何度も先生の示範を見る機会がありましたが、私が杭州に来て初めて教わったのが竹の描き方だったので、来たばかりの頃を思い出してとても感慨深い気持ちになりました。きっと他の卒業生達にとってもそれぞれ色々な思いを呼び起こす時間だったのではないかと思います。

DSC08334二人の先生がそれぞれ一枚ずつ竹を描きました。竹は筆法を習う時の一番基礎の課題でありながら、上手に描くには本当にセンスと熟練を要する難しいモチーフです。この二人の先生は筆さばきが対照的で、同じ竹を描いても全く違う風格が現れます。私が見た中国画の世界は墨と紙さえあればどこでも作品を描けて、また何を描いてもその人の個性と熟練度が出てくるような、とても自由で、また厳しい世界でした。
こういう場に自分が居合わせることができたこと、先生や周りの友人に恵まれて、短い期間の間に色々なものを見たり、経験させてもらったりできたことは本当に幸運だったと思います。これから帰国してからの生活の中で、吸収したことが徐々に形になって現れるように、制作を続けていかなくては、と強く思いました。

作品展示と中国の卒業式