大学の旅行で安徽省の黄山に行ってきました!
10月の国慶節があけると、美術学院の学生はそれぞれの科がいっせいに中国各地の農村へスケッチ旅行に出かけます。行く場所は科によって雲南、貴州、景徳鎮など様々ですが、私は所属する写意画の先生や研究生達と一緒に雲海や奇岩で知られる黄山へ行ってきました。

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黄山市は杭州より少し南に下ったところにありますが、杭州市内から車で3時間くらい。高度が高いので市内でも既に気温がかなり低く、寒いです。まずは黄山の麓のこの町に滞在して安徽省の農村の古い街並を見学したり、ぶらぶらと散策したりしました。DSC03806

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市内に2、3日滞在した後、黄山へ出発!

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この日からは山の上の旅館に泊まったので、全ての荷物を持って山頂を目指します。途中まではロープウェイで登って、途中からはひたすら山登りでした。。

山登りと言っても黄山は道がかなり整備されていて、階段を少しずつ登って行くような感じです。しかし普段絵を描いている人たちなので、皆すぐに息を切らしつつも、なんとか山上にたどり着きました。山上に着くとそれまでの視界が一変、、、

DSC04115雲の上にいました!!

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切り立った岩山と、雲海と、松林と、刻々と変わる光がまるで水墨山水画そのもののようで、目の前に広がる空間のスケールが一瞬つかめなくなるような感覚を覚えました。見ている景色は現実のものなのに、時々本当に二次元の絵のように見える瞬間があります。現実離れした、時に形式的に見える水墨山水画も、こういう風景を見て描かれたのだとしたら画家にとっては限りなく写実だったのだなあと思いました。

そして夜は先生や先生の友達も交えて毎日ひたすら宴会です、、、DSC03747

今回の旅行で、中国の宴会の凄まじさ(?)を身を以て体験しました。50度以上の白酒を乾杯の度に飲み干さないといけないので、学生は胃を守るためのハチミツを持参(!)と、ここまでは普通の旅行と一緒ですが、夕飯を食べ終わってからが本番でした、、、

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夕飯の後、どこからともなくおもむろに机や紙が運ばれて来て、先生も交えて皆で即興で絵を描き始めます。
これにはびっくりしました、、
題材は、自分の得意なモチーフでも、黄山の印象でも何でも良いのでDSC03957

山水の先生が黄山の印象を描いたり、

DSC03955金魚を描き出す人がいたり

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先生も筆を取ってその場で何枚も描きます。学生にとっては先生の運筆を間近で見ることができて、かなり贅沢な空間です。
私たち学生はというと、これも私にとってはかなりカルチャーショックだったのですが、この日はなんと全員で一枚の絵をを合作しようということになりました。

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特に打ち合わせする訳でもなく、まず1人目が松を描きだすと、

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次の1人がそれに合わせて後ろの枝を描くというふうに、リレー形式(?)で絵がどんどんできていきます。最初に大まかな下図がある訳でもないので、一人一人の手が入るたびに絵のバランスや、方向性が変わります。合作というよりもセッションというか、かなり即興生の高いものです。私はただただ驚くばかりでしたが、皆は割と慣れているらしく、特にためらうこともなく筆をふるいます。普段の自分の作品の雰囲気というよりも、基本に忠実な筆さばきをします。運筆の基礎を共有しているからこそなせる技だと思います。計10人くらいの学生が1人ずつ手を入れて、だんだん秋の黄山の松林の絵になっていきました。DSC03977
全員参加といういうわけで、私も写意歴1ヶ月ですが竹を描くことになり、、

DSC03968竹の葉を描き入れました!やり直しのきかない一筆描きなので、中国に来て以来、一番緊張した瞬間でした、、、しかしここ一ヶ月の素振りの成果が出て、まずまずの出来でした。
DSC04000最後には先生も手を入れて、鳥を描きこみました。
学生の班長が代表して題字と手を入れた人全員の名前を入れ、全員の落款を押して、

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完成です!!

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先生や同級生の名前とともに、私の名前と落款も入っています。これは、私にとってはとても貴重な、本当に嬉しい体験でした。

ちなみに、この日描いた絵は先生の絵も含め黄山でお世話になった人や旅館に宿代代わりに寄贈しました。先生が、何年か経ったら黄山に来て自分の若い頃の筆跡を見たら良い、と言っていましたが、もしそれが叶ったら、本当に素敵なことだと思いました。昼間は雄大な景色を見て、夜は皆で食事をして、絵を描き、私にとっては本当に驚きの連続でしたが、常に五感が刺激され続けるような、言葉に尽くせない濃密な1週間でした。

黄山下郷