先週金曜日から横浜で光明院障壁画「蓮池図」完成記念展が始まりました!

この展覧会はそもそも一年前、神奈川県川崎市にある光明院というお寺のご住職から私に「客殿の床の間に絵を描いて欲しい」という依頼を頂いたのがきっかけです。
床の間に絵、といっても床の間に掛け軸や額に入った絵を飾るのではなく、床の間の壁面そのものに、一面に蓮の花を描いて欲しいというのがご住職の希望でした。こういう形式は「床貼付(とこはりつけ)」といって、伊藤若冲や丸山応挙が描いた床貼付など有名なものもあります。

このような依頼は私にとっても初めてで、しかも「蓮池図」というのは伝統的な画題でもあるのでいつもの制作とは違うプレッシャーを感じつつ、制作に臨みました。夏に蓮の花や葉をスケッチし、それから構想を練ったり紙や絵具を揃えたりして、およそ一年がかりでした。他にも個展などに出品する自分の作品も制作しながら、頭の中には常にこの蓮池図のことがありました。

そして完成したのが、、

今開催中の展覧会で展示されている光明院所蔵「蓮池図」です。
実際に床貼付として収まる時は画面右側の70cmくらいが床の間の奥行きに
なるので、全部広げたこの状態で見られるのはこの展示の期間中だけです。

ここ最近の自分の作品は線を主体にして彩色は薄塗りで仕上げていたので、こんなに絵具で厚みや濃淡をつけながら描いたのは久しぶりで、絵具の扱いには苦労しました。岩絵具そのものが持つ強い物質感と装飾性、それと空間や写実性とのバランスが最後の仕上げの段階まで悩みどころでした。今回はこのような形に収まりましたが、引き続き考えていきたい課題のひとつになりました。

今回の依頼を頂かなかったらこのような課題に挑戦することも無かったと思うので、 いつも使わない引き出しを開けてもらったような感じで、とても刺激的な制作期間でした。

また、今回の作品は巨大なので、水張りなどの下準備の工程から彩色に至るまで 色々な人に手伝ってもらいました。主に大学院時代の先輩、後輩、作家の友達など。普段別々の制作をしている作家同士が同じ絵を描いて成立するのかと思うのですが、そこは皆さんの力量でお互いに認識を共有しながら手を入れていきました。

笑いの絶えない制作現場。

今回のFEI ART MUSEUMでの展覧会では蓮池図の他に、このようにお手伝いしてもらった作家の皆さんの作品も同時に展示することが叶いました。
展示を見ていただければ、普段の作品は皆それぞれ全く違う表現をしていることが分かると思います。それぞれ個々で自分の表現を模索している私たちが、協力してひとつの作品に取り組む、というのもめったに無い経験で、絵具の塗り方や道具の使い方にお互いに刺激を受けたり、あれこれ喋りながら楽しく制作しました。

蓮池図と、それ以外の個人作品のバリエーションの対比があって面白い展示になったのではないかと思います。

光明院障壁画「蓮池図」完成記念展